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【実例】「アパート経営のリアル」経営者さんの苦悩を紹介します。

2021.05.27

【実例】「アパート経営のリアル」経営者さんの苦悩を紹介します。

今回の記事は、20代にして突如アパート経営をすることになった「Mさん」の特集です。

アパート経営というと不労所得できて羨ましいと思う方もいらっしゃると思います。しかし、今回取材をしたMさんの話を聞くと、そう羨ましがってもいられないという現実を知ることになりました。

一方で、これは誰にでも起き得ることだとも感じました。

アパート経営に興味がある方、また、すでに不動産を所有している方々にも知っていただきたい、アパート経営のリアルをお伝えします。

Mさんの情報

Mさんは都内に勤める20代の会社員です。しかし、経営しているアパートは、栃木県内にあり、最寄り駅からは遠く、築年数30年近いという物件です。

住戸数は3棟建ての全16戸ですが、現在入居が5世帯という状況。一般的な不動産経営の観点で見ると、お世辞にも順調とは言えない状態です。

では、そもそもなぜそのようなアパートを経営しているのか。

20代でアパート経営を始めることになった経緯から見ていきましょう。

突然のアパート経営

現在はMさんが経営するアパートですが、この物件はもともとMさんの叔父が経営をしていました。ある時、その叔父が亡くなり、遺産相続によりMさんの母へ相続されたそうです。しかし、Mさんの母は、親の介護などでとてもアパート経営に手が回る状況ではなく、独身であるMさんが母に代わって、アパート経営を行うことになりました。

叔父の葬儀・埋葬がすべて終わり少し落ち着いたところでそのアパートに行ってみたMさん。小さいころに何度か行ったことはあったそうですが、改めて見たそのアパートは廃墟かと思うくらいの有り様でした。雑草が生い茂り、古びた外観。どんな人が入居しているかもわからない。そのアパートの前に立ったMさんは恐怖を覚えたそうです。

管理の状況も悲惨なものでした。

家賃収入はどこの銀行に、どのように振り込まれているか。お世話になっている不動産会社はどこなのか。何もわからない。

そもそも不動産について全くの素人であるMさんは、まず、各部屋へインターホンを押して挨拶回りをすることから始めたそうです。

時折、叔父へのお悔みももらいながら、そこで入居者の名前などを確認したそうです。不動産会社の名前も入居者に教えてもらい、そのまま不動産会社に足を運んだそうです。

そして、多くの問題があることを知るのでした。

不動産会社にもいろいろな種類がある

Mさんが不動産会社に初めて行ったとき、話が全くかみ合わず不満を抱いていました。

例えば、
「空室のカギは御社でお持ちですか?」
「家賃は御社で回収していただいているのですか?」

など基本的な質問をしますが、答えは全部「NO」でした。最終的に言われたのが「うちは全く関与していません」。

「つめたいじゃないですかー」と嘆きながら半べそ状態でアパートへ戻った「Mさん」。そこで改めて調べたところ。Mさんが訪れたのは客付け会社だったことが判明します。

不動産経営をしている方や興味のある方は知っていると思いますが、個人で不動産経営をする際には、「専門の会社」に業務を委託することになります(稀に自分で管理をする方もいて、それが後々Mさんにも大きく影響を与えるのですが、、)。

委託する業務には、入居者の募集、物件の管理(建物の修繕に関わること、入居者とのやり取りなど)等があり、個人では賄えない部分を代行してもらうのです。

しかし、委託する会社にも種類があり、賃貸に係る部分では「仲介会社」、「仲介管理一体型」、「専門管理会社」などがあります。

「仲介会社」や「仲介管理一体型」には、私たちが良く耳にする会社も多いですが、主に賃貸物件を探すときに訪れる先のことを指します。

一方で「専門管理会社」は物件の管理のみを専任で行う会社で、客付けは「仲介」や「仲介管理一体型」の会社に委託をするわけです。

つまり「Mさん」が初めに行った不動産会社は入居者の募集を行う「仲介会社」であり、物件の管理には一切関知していない会社であり、Mさんは、そこで初めて「仲介会社」と「管理会社」が違うこと知ったのです。

問題山積

問題は知識不足だけではありませんでした。

叔父はがん宣告を受け、その後1か月という早さで亡くなっているため、引継ぎなどは無く何もわからない状態でした。そこで不安なことをリストアップしたMさんは家賃の金額、契約書の在りか、鍵の場所、経営にかかるコストなど、そもそも経営に必要なものが何もないことに気が付きます。

そして一番の問題が判明します。

Mさんの叔父はこのアパートに住んでいたため、その部屋で遺品整理を行っていると、鍵や契約書を発見します。もうお分かりだと思いますが、叔父はアパートに住み込んで管理をすべて自分で行っていたのです。

つまりMさんがアパートの管理状態を確認するために探していた不動産管理会社はもともと存在せず、自ら調べるしかないことが判明したのです。
ここからMさんのアパート経営の苦悩が始まります。

行動するたび問題が

ともかく一つずつ問題を解決していかないといけない。

まず、行ったことは叔父の部屋で発見した鍵がどの部屋のものかを探す作業です。これが一番ドキドキするらしいのですが、それもそのはず、何十個もある鍵から一つを選び、鍵穴が合えば部屋の中に入る(もちろん空室ですが)、中を見るまでどんな状態かわからないのです。

実際、夜逃げされたような部屋やかなり汚い部屋などがあり、Mさんは茫然とするしかありませんでした。先ほどお話しした通り、叔父はがん宣告を受け1か月で死亡しているので、すべてがやりっぱなしの状態なのです。

つづいては行ったのは、遺品整理で得た入居者の契約書確認です。契約書には必要な情報がほとんど書いて有りますので、これを読み解くことはとても重要です。

そこで得た情報は家賃でした。2タイプある間取のうち2Kが32,000円、3Kが40,000円ということが判明。基本的には銀行振り込みで、一部の方がカード支払いという状態でした。

ここで初めてアパート経営における毎月の収入額が把握でき収益の試算をしたところ、管理会社を通すと利益が出ないことはおろか、赤字経営になってしまうのがわかりました。

幸い、メインバンクに口座開設及び叔父の口座の解約の手続きを行った際、ローンは完済されていることが判明します。

その後、不動産会社で「入居者全員分の契約書を新しく巻き直したいので、作成や契約を代行してほしい」と依頼しました。家賃を払わない人もいたので、保証会社を通して毎月振り込んでもらいたかったのです。

もちろん不動産会社は快く引き受けました。そして、そもそもなぜ、このアパートがあまり客付けされないかも教えてもらったMさん。

不動産会社の話によると「駅から遠い」「古い」「さらに和室(畳)」が大きいとのこと。ショックを受けたMさんですが、リフォームをする予算もないので、ひとまず興味を示した人がいればご案内していただくお願いをして帰ったそうです。

地域の方々とのつながり

何とか現状の把握ができたMさん。

この後アパートを経営していくにあたり、近隣住民とのコミュニティ形成が大切だと考えます。

まずは近隣のお宅へ挨拶、自治会長への挨拶、市議会議員への挨拶と1日かけて挨拶回りをし、町の取り組みやごみ置き場の清掃。地域のイベントの手伝いなど、色々とやることがあると教えてもらいます。中には入居者へのクレームもありました。

また、自治会費を入居人数分、年1回支払わなければならないことも知ります。こういった挨拶やイベントへの積極的な参加は非常に大切で、色々な方との関係性の中で知る知識や叔父が生前取り組んでいたことを知る機会となったことはMさんにとって良い学びだったそうです。

また、アパートの裏には山があり、イノシシなどが出るので、協働駆除を皆で行う。助け合い精神でコミュニティが形成されています。

郊外の物件ということもあるかもしれませんが、ネットの普及により人と人とのつながりが薄れている現代においては稀有であり、かつ、便利さと不便さの善し悪しについて考えさせられるエピソードでした。

入居条件を変えるリスク

Mさんはアパート経営において教訓も得ます。それは入居条件を変えるリスクです。

不動産経営において空室をつくらないというのは鉄則です。状況によっては家賃や入居条件を変えてでも、入居者がいる方がいいという考え方があります。しかし、この考え方には落とし穴もありました。

それはMさんが引き継ぐ5年前のこと。最初に変えた条件は「外国人可」です。物件の近くに工場地帯があり、外国人雇用者が多いので充室させるために叔父が外国人可という条件にしたらしいのです。これにより狙い通り入居者は増えました。

しかし、一方で弊害もあります。何が起きたかというと、毎晩パーティー、外で勝手にバーベキュー。近所は散らかし放題。という入居状況の悪化です。幸いにも3棟あるうちの1棟だけ「外国人可」としたため、他の棟に住んでいる方の退去などは無かったようですが、2年契約としていたため、2年間近隣住民に迷惑をかけ続け、しまいに退去後はフルリフォームをしないと次に貸せないくらい汚されているという状況でした。

それからは「外国人可」の条件をやめたそうですが、当時置きっぱなしだったゴミや車などはそのままMさんに引き継がれたそうです。

次に変えた条件は「ペット可」です。こちらは最近よく見かける条件だと思います。ペット可は修繕にお金がかかりますが、人気の条件でもあるため実際入居者が増えました。

しかし、不運は続きます。

動物愛護家を名乗る女性が叔父の死の1か月後に入居しました。叔父が生前、保証会社を通さず、保証人のみで契約をしてしまっていたのですが、その女性は何かと理由をつけ家賃を支払ってくれません。そのうち野良猫を家で飼うようになり、共用部は糞まみれ、アパートは猫だらけ、しまいには人の土地にまで、餌を置くようになり、近隣住民の怒りは頂点に達していました。

どうしても退去させてほしいと打診があり、家賃が半年も支払われない状況だったので、契約解消に踏み切ったMさん。しかし、契約を解消するだけでは退去してくれません。無理やり退去させたり、鍵を交換したりすると法律違反となります。弁護士費用もなかったMさんは、自ら裁判を起こします。そして、見事勝訴をして強制退去をできることになったのですが、退去通知が裁判所から通達されても、女性は退去をしませんでした。

それでもMさんは少しずつ行動を起こしていきます。住みついた猫は保健所に相談の上引き取ってもらったそうです(そのあとは恐喝の電話も来たそうですが)。

そして勝訴から3か月後、警察や裁判所に相談の上、裁判所の立会人、警察官同行のもと強制執行のもと女性は退去をすることになったそうです。

しかし、女性は無職の為、未納分の家賃は回収できず、保証人も連絡が付かず、強制執行代なども掛ったため「Mさん」の出費は大きかったとのこと。

ひとまず解決とはなりましたが、ハウスクリーニングをしても貸し出せないほど汚れがあり、臭いがすごく、損壊もあるなど散々な結末を迎えています。

このように、決して外国人やペットを飼っている方すべてがそのような人ばかりではないですが、ビジネスである以上条件はしっかりと考えて、緩くするならば家賃や保証会社など他の条件で引き締めるなど最低限の決め事は守ろうと決意したそうです。

Mさんは最後にこのように話しています。

「空室はあるものの、自身の生活費などを家賃収入からは出しておらず、出費は少ないので、少しずつではありますが貯蓄ができています。それでも固定費、浄化槽清掃や修繕にはお金がすごくかかります。また、雑草処理も大変で1か月放置すると結構生えてしまいます。2週間に一度はアパートに行き、挨拶、草刈り、空室の換気と忙しい日々を過ごしている状況です。」

「少しずつですが、自分で土間を引いたり、ブロックを積んだりして敷地の整備をし経費削減の工夫をしています。人気なし物件ですが、将来の夢は部屋が充室し、管理会社に管理をしてもらうようになることです。」

今回は家庭の事情で突如アパート経営を行うことになったMさんの実例を紹介させていただきました。知識がない中でアパート経営をするのはとても大変です。さらに悪辣な入居者さんがいる場合、本業以上に労力をかけざるを得ないことになります。

Mさんの事例は稀ではありますが、近年の投資ブームによりアパート経営に興味がある方も多いと思います。そういった方にも参考となるお話だったのではないでしょうか。

本日は以上です。ありがとうございました。

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